ETC協同組合のETCコーポレートカード解説

ETC協同組合

ETCコーポレートカードは高速道路株式会社(ネクスコ)が発行する事業者向けのETCカードです。

建前的には高速道路を頻繁に利用する事業者向けです。高速道路の利用料が多いほど割引率が上がる仕組みで、「コーポレート(=企業)カード」と名付けられている所為もあって法人の利用が多いのが特徴です。

しかし、個人事業主や個人での申し込みも可能で、旅行好きの学生や、単なるツーリング好きのバイク乗りでもETCコーポレートカードを所持することが可能です。

一方で、複数の事業者の集合体「事業協同組合」を契約者としたETCコーポレートカードの発行もできます。その場合は組合員として申し込みする為、カード本体に組合名と事業者名の両方が刻印されます。

「組合は怪しい」「面倒くさそう」と思う人もいるでしょうが、ネクスコが発行する公式のETCコーポレートカードです。

今回の記事では、ETC事業を取り扱う事業協同組合の仕組みや、従来のETCコーポレートカードとの違いなどを簡単に解説します。

ETCコーポレートカード協同組合とは

ETCコーポレートカード事業協同組合とは、ETCコーポレートカードの利便性を高めることを目的とした組織です。

そももそ事業協同組合は同じ目的を持つ事業者達の集合体です。平時はライバル関係であっても「協力し合える部分は協力し合おうぜ」という概念から生まれました。

競合他社の垣根を超えた協力関係はどの業界にもありますが、それを法的に組織化したものが組合です。

大量購入で安く仕入れた資材を組合員に分配する「共同購買」は組合事業の代表格のようなもの。商店街のポイントサービスを取りまとめる販売促進など、組合事業の根幹には「相互扶助」があります。

ETCコーポレートカード事業を取り扱う事業協同組合は「ETCコーポレートカード協同組合」とか「ETC協同組合」などと呼ばれますが、複数の法人が同じ組合名義でカードを作ることによって、大きな取引先の一員としてネクスコと契約することができます。

どんな商売でも大きな取引先は優遇されるものです。ETCコーポレートカード協同組合も例外ではありません。

次に、組合名義のETCコーポレートカードはどんな仕組みになっているのか?どんな優遇があるのかを解説します。

ETCコーポレートカード協同組合の仕組み

事業協同組合系のETCコーポレートカードは「〇〇組合 □□社」と刻印されたカードが発行されます。

〇〇組合(契約者)に所属している組合員(加入した事業者)としてネクスコと契約することになりますが、手続きは全て組合の本部が行います。

ETCコーポレートカード協同組合の相関図

組合の相関図

組合員になるには「組合加入出資金」が必要です。大抵の組合は1口1万円に設定していますが脱退すれば返金されます。

従来のETCコーポレートカードは、ネクスコの窓口で手続きを行い、高速代の支払いは各高速道路に銀行振込ですが、組合系のETCコーポレートカードは組合本部に統一されます。

バラバラに届く利用明細も本部により整理される為、事務の仕事はかなり楽になります。

ETCコーポレートカード協同組合は日本全国に数多くあり、それぞれが別組織です。仕組み自体は同じですが、提供するサービスは微妙に異なるのでご注意下さい。

組合の運営費は契約者単位割引

ETCコーポレートカード協同組合の業務は、組合の役員や事務員が行っています。人件費や家賃や雑費がかかるわけですが、それらの費用は「契約者単位割引」で賄われています。

契約者単位割引はETCコーポレートカードの「大口・多頻度割引」の一つで、カード1枚あたり平均3万円以上の利用があり、全体で月500万円を超えた契約者に対して10%を割引するサービスです。

毎月の高速料金が500万円を超える企業は一部の大手に限られますが、事業協同組合のように複数の事業者が集まればクリアできる金額です。

お金の流れ

お金の流れ

分かりやすく例えると「組合全体で月500万円の利用があれば契約者単位割引の50万円が組合運営費」となります。

1社で月500万円以上の利用がある事業者は、組合に加入しない方が請求額が安くなります。しかし支払い方法が面倒だったり、利用明細もバラバラに届いたり、保証金の金額が大きかったりする為、組合に加入する企業も少なくありません。

月500万円未満の事業者にとっての契約者単位割引は「適用されない割引」です。請求額は従来のETCコーポレートカードだろうと組合系だろうと同じ金額なので、付加サービスを受けられるが組合に加入した方が断然お得です。

ETCコーポレートカード協同組合に加入するには?

ETCコーポレートカード協同組合に加入するには、大きく分けて5つの条件があります。

どの組合でも絶対条件にしているものと、別の組合なら対応できるものがあります。それぞれ解説します。

組合加入条件
  • 契約者と車両の名義が同じ
  • 契約者は法人または個人事業主
  • カード1枚に対して月3万円以上の利用
  • 組合の対象エリアに所在地がある
  • 組合の対象とする事業目的である

ETCコーポレートカード協同組合の加入条件

契約者と車両の名義が同じ

ETCコーポレートカードは契約者と車両の名義が同じでなければ申し込みができません。法人で申し込みするなら同じ法人名義の車で申請する必要があります。

同一名義の条件はETCコーポレートカードを発行するネクスコが定めている為、ネクスコの窓口で申し込みする場合も絶対条件です。

また、申請する車両にETC車載器(ETCカードを挿す装置)が取り付けてあることも絶対条件です。

契約者は法人または個人事業主

ETCコーポレートカードを取り扱う組合は「事業協同組合」です。組合員は「法人」もしくは「個人事業主」でなければ加入できません。

届出を提出していない個人名義でETCコーポレートカードを申し込みする場合は、ネクスコの窓口で受け付けています。

カード1枚に対して月3万円以上の利用

組合系のETCコーポレートカードは、ネクスコの指定する高速道路の利用が毎月3万円以上あることが条件です。

組合の運営費は契約者単位割引が原資であり、契約者単位割引の条件が「月の合計500万円以上、カード1枚の利用が平均3万円以上」である為、組合の加入条件に反映されてます。

もう少し詳しく説明すると、「月3万円以上の利用」に首都高速や阪神高速は含まれません。また、ネクスコの指定する高速道路であっても平日朝夕割引分は対象外です。

ちょっと厳しい気もしますが、組合が契約者単位割引を受けられなくなると存続することが危うくなってしまい、万が一、組合が解散したら加入している組合員のETCコーポレートカードが全て使えなくなるという最悪の事態が想定されます。

しかし実際は「1枚のカードで年間36万円」「目安として3万円」など緩いルールを設けている組合もあります。

1ヵ月の高速道路の利用状況は、組合に加入する時に聞かれる項目なので事前に把握しておきましょう。

組合の対象都道府県に所在地がある

ETCコーポレートカード協同組合は日本全国に点在してますが、同じ都道府県である必要はありません。組合が届出を提出した都道府県に事業所があれば加入できます。

組合本部の事務所がある地域だけ加入できる地元型組合があれば、国内であれば対応できる全国型組合もあります。

組合の公式サイトに記載されているので、予めチェックしておくと良いでしょう。

組合の対象とする事業目的(業種)である

ETCコーポレートカード協同組合への加入は「組合員の事業目的(業種)」が対象であるかが問われます。

事業協同組合は所轄行政庁の認可を取っていますが、申請した行政庁は組合によって異なる為、事業目的がマッチしていない事業者は加入できません。

とは言え、対象の事業目的は「複数の所轄行政庁」に申請している組合が多いので、いくつかの組合に問い合わせれば加入できると思います。

ETC協同組合のETCコーポレートカード解説まとめと補足

ETCコーポレートカード協同組合についてまとめます。

ETCコーポレートカードを取り扱う事業協同組合は全国に数多く点在してますが、それぞれが別組織の為、料金、サービス内容、加入条件など組合によって異なります。

組合に加入すると大口・多頻度割引の「車両単位割引」のみが適用されます。

車両単位割引 割引率
5,001円~10,000円の部分 10%(20%)
10,001円~30,000円の部分 20%(30%)
30,001円以上の部分 30%(40%)
※( )内は、ETC2.0を使用する事業用車両

月500万円以上から適用される「契約者単位割引」は組合の運営費になる為、1社で契約者単位をクリアできる事業さんはご注意下さい。ネクスコの窓口で申し込みした方がお得になるケースもあります。

ネクスコ 組合
個人名義 不可
最低利用額 なし 月3万円以上
保証金 4ヶ月分 なし
車両単位割引 あり あり
契約者単位割引 10% なし
支払方法 銀行振込 口座引落